プログラマーのジレンマ



1 Comment
「プログラマーのジレンマ」を読みました。

ソフトウェアは難しい
        ―ドナルド・クヌース 「The Art of Computer Programming」

この本の一番最初に書いてある言葉。
まあ、この簡単な言葉に集約されるんだろうな(身も蓋もないけど)。

IMGP0558

デスマーチを取り扱ったノンフィクション。
チャンドラーというPIM(個人情報管理ソフト)の開発を3年に渡って取材したもの。

非常に興味をそそられるのは、その開発メンバー。
最初に主要登場人物一覧が載ってるのだが、
聞いたことある名前や、知らない名前でも経歴を見れば、「ああ、あれを作った人か」という人物ばかり。
錚錚たるメンバーだ。

そんなチームが今までにないPIMを作ろうと走り出し、泥沼に陥って行く姿が描かれる。

自分もソフト開発に携わる身なので、
そんな彼らの姿に「あるある」と頷いたり、ニヤニヤしたりしながら、読んでいけました。

しかし、本の中盤あたりになってくると、話が進まなくなってくる。
プロジェクトの停滞感が、文章にまできっちり再現されている感じで、読むのが辛くなってくる。
すると、筆者がこんなことを言い出す。

"さて、ここまで読んだソフトウェア開発者の読者は、「いいかげんにしろ。この本のやつらはありとあらゆる間違いを犯しているじゃないか」と見放して本を放り出している頃ではないだろうか。"
"そのようなプログラマーの多くは、「自分ならこんなことはしない。もっとうまくやれる」と考えていることと思う。"

ギクリとした。
はは、見透かされてるよ。
「自分ならこんなことはしない。もっとうまくやれる」
自分もこう思ったことは何度もあるが、この言葉、100%、幻想に終わる言葉ですよね(理系出身のくせに100%と言い切ってもいいと思うぐらい)。

これはノンフィクションである。
何らかのブレイクスルーがあって、成功に向けて一直線! なんて展開はない。
最後にプロジェクトを成功させるための秘訣が出てきたりもしない。
この本はチャンドラーVer0.6のリリース前で終わっている。
つまり、3年経っても、1.0に到達できなかった(現在は1.0が出ている)。
世間的にはチャンドラープロジェクトは失敗と見られている。
そんなお話なので、中盤から終盤は読むのが少し辛いです。

それでもこの本は面白かったし、読んで良かったと思います。

それは、停滞していくプロジェクトに対して、天才プログラマーと言われる人達が何をしようとしたのか、何を思ったのかが読めるから。
また、プロジェクトが失敗していく過程だけを書いた本ではなく、
プロジェクトで発生した数々の失敗に関連させて、
これまでにソフトウェア業界で生まれてきた様々な法則(経験則)、小話や歴史がたくさん引用されていて、非常に読み応えがある。

この本はソフトウェアでの失敗に関する話題で溢れている。

決して読んで損はない本だと思う。

リンク:チャンドラープロジェクト


今だからできた「匠」のMG・VガンダムVer.Ka!! ホビーショーに
やっと出るか、Vガンダム!
ぜひV2まで出して欲しいです。

■ご当地メロンちゃん(横浜)
IMGP0562
ゲットしたよ。
これね↓

1 Comment:

dango at: October 13, 2009 said...

クヌース先生のアルゴリズム勉強したなー